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年々稀少性を高めるベニトアイトとは?

ジュエリー界には、「超稀少」と目される貴石が少なくない数存在します。

それは決まった産地でしか採れなかったり、原石自体はあっても宝石質の個体がなかなか産出しなかったりと、要因は様々です。

そんな中で、アメリカ カリフォルニア州にある一つの鉱山でしか採れない貴石があります。しかも該当鉱山は既に閉山しており、現在上質なものはまだ見つかっていない状態です。それは、ベニトアイトです。アメリカの三大稀少石として語り継がれるほどのレアリティもさることながら、吸い込まれるような気品ある青が大変美しく、見る者をうっとりさせます。

2019年、某テレビ番組で紹介されていたため、名前だけはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、ベニトアイトについて詳しくご紹介いたします。

ベニトアイトとは

ベニトアイト

 

① DATA

鉱物名:ベニトアイト・ベニト石

和名:ベニト石

色:青~青緑,紫,無色

モース硬度:6-6.5

劈開:あり

原産国:アメリカ合衆国

宝石言葉:気品、成功など

② 概要

ベニトアイトはケイ酸塩鉱物の一種です。
ケイ酸塩鉱物は世界各地で産出し、含有する成分によってトルマリンやトパーズ、ペリドット等有名な貴石となります。しかしながら「ベニトアイト」と呼ばれる個体は、アメリカ カリフォルニア州のサンベニト山脈に位置する鉱山でしか採掘されません。

サンベニトはワイン産地としても知られており、海に程近く、広大な草原が広がる風光明媚な土地。1900年初頭、この地の探鉱を行っていたジェームズ・カウチ氏によって、ベニトアイトは発見されました。

その青みがかった色から当初カウチ氏はサファイアと認識しますが、その後カリフォルニア大学バークレー校の鉱物学者ジョージD.ラウダーバック博士により、新種の鉱物であることが解明されます。と言うのも、コランダム由来のサファイアはモース硬度が9ですが、発見されたベニトアイトはそれよりも傷つきやすく、やわらかかったためです。

発見された土地にちなみ、ベニトアイトと名づけられることとなりました。

ベニトアイトが産出するサンベニト山脈の鉱山はディアブロ鉱山と呼ばれており、その後そこ以外で上質なベニトアイトが採れる事例は見られませんでした。オーストラリアや日本の新潟県,東京の奥多摩などでもベニトアイト自体は見つかっているのですが、宝石質のものはきわめて稀なのです。

こういった背景から、ベニトアイトはタンザナイトやブラックオパール、レッドベリルなどと並んで世界十大稀少石に、アメリカ国内でも三大稀少石となっております。ちなみに1985年、カリフォルニア州は「ステイツストーン」として公式認定しています。

ベニトアイト発見から約100年。なんと、唯一無二の産出地ディアブロ鉱山が閉山となってしまいます。その後、宝石質のベニトアイトが産出された地はまだありません。つまり、さらに、年々稀少性が高まり続けているジュエリーでもあるのです。

そんなベニトアイトの特徴を次項で解説いたします。

ベニトアイトの特徴

ベニトアイトはケイ酸塩鉱物の一種であるため、六方晶系の結晶系を有します。

産出には曹長石(アルバイト)やナトライト(ソーダ沸石)、ネプツナイト(海王石)を伴うことが多いようです。

発見者のカウチ氏がサファイアと誤認したように、青色をしていることが特徴です。しかしその青は濃く鮮やかなロイヤルブルーで、サファイアとはまた違った魅力を有します。

さらに、ベニトアイトが特別視される理由として、ダイヤモンド並みのファイアを持つ、ということがあります。光の屈折率が高く、しかも複屈折(二重に屈折するもの)を起こすため、きらびやかな美しい輝きを放つことができるのです。

そのためダイヤモンドのようにカッティングによって多面を持つことで、より強い輝きを放つこととなります。

一方でアレキサンドライトのような多色性を有しており、角度によっては青が強くなったり弱くなったり、紫がかった色合いを見せることもあります。

さらに、紫外線を当てると青色蛍光を発する特徴もベニトアイトをより神秘的にしてきました。

このように、稀少性のみならず、有している特徴が他の宝石と一線を画していると言えるのではないでしょうか。

ベニトアイトの価値

ベニトアイトの稀少性を鑑みれば、それに比例して相場もきわめて高いことが容易に想像できますね。

そもそも、世界的なオークションハウスにも滅多に出回らないとも言われています。

こういったベニトアイトの稀少性から、「いくらになる」とは一概には言えませんが、某テレビ番組によると過去2.7カラットで約1200万円、3カラットで1500万円の値付けがなされたことがあった、とか!

ベニトアイトは大きい原石が産出することがほとんどなく、またカッティングされることが多いため0.5カラットを超える個体はプロでもなかなかお目にかかれません。

とは言えベニトアイトの中でもグレードはあり、「色むらが少ない」ものが上質とされています。ベニトアイトは見る角度によって表情を変える多色性を持つため、色むらがあるとキレイな青に統一されません。

また、ダイヤモンドと一緒でインクルージョンが少ないほど光の屈折を邪魔するものがなく、それだけ美しく輝くことが可能です。

なお、街中のショップで安価に販売されているベニトアイトや、青以外の、例えばオレンジやピンクなどのベニトアイトがあったとしたら、それはイミテーションであることがほとんどです。

まとめ

現在、宝石質のものが採れる場所はほぼないと言っていい、ベニトアイトについてご紹介いたしました。

ベニトアイトはその名の通りアメリカ カリフォルニア州のサンベニト山脈で発見され、そこでのみ採掘された宝石であること。発見から100年余で産出がストップしてしまい、年々稀少性が高まっていくこと。ベニトアイトはその美しい青はもちろん、ダイヤモンドのような煌めきを持っていることでも私たちを魅了していることをご理解いただけたでしょうか。

なかなか市場に出回らないベニトアイトですが、一度は手にしてみたいものですね!